令和5年2月27日に選考委員会を開催し「第56回やってみなはれ佐治敬三賞」を選出いたしました。 今年もたくさんのチャレンジ精神あふれる「やってみなはれ」な作品の応募がありました。 個性あふれるチャレンジ、しっかりと成果を残した作品、安定感のある王道のCM。様々なジャンルからの応募があり、選考委員の皆さんの熱い議論もありましたが、最後は満場一致で選出となりました。
第56回やってみなはれ佐治敬三賞 受賞者

細田 佳宏(ホソダ ヨシヒロ)氏
株式会社タイガータイガークリエイティブ
CMプランナー
- プロフィール
- 1973年島根県松江市生まれ。大阪大学文学部卒。
IT企業でエンジニアとして働いた後、CMプランナーに転職。
電通関西支社を経て、2013年よりタイガータイガークリエイティブ現職。
受賞対象作品
- 関西電気保安協会 「関西電気保安グルーヴ」 (WEBムービー)
- 関西電気保安協会 「ある日突然関西人になってしまった男の物語」 (WEBムービー)
- 関西電気保安協会 「関西人だけにメロディが聴こえる広告」 (新聞5段)
- 関西電気保安協会 「関西人が名画を勝手に解釈する広告」 (ポスターB1×4枚)
- 関西電気保安協会 「彼と、彼女と、関西電気保安協会」 (WEBムービー)
- 関西電気保安協会 「関西電気保安協会職員の困惑」 (新聞5段)
- 持田ヘルスケア 「ベタつく髪」 (WEBムービー)
- 関西電力送配電 「おくりんCM撮影」 (テレビCM)
- 西松屋 「ママとパパの奮闘」 (テレビCM)
- NTT西日本 「ICT いま始めれば ちょっと違う Tomorrow」(テレビCM)
関西電気保安協会「ある日突然関西人になってしまった男の物語」WEBムービーより
関西電気保安協会「関西人だけにメロディが聴こえる広告」新聞5段より
関西電気保安協会「関西電気保安協会職員の困惑」新聞5段より
受賞理由
企業が求める広告の安心感と新しい切り口に真正面から向き合い、丁寧さ、テクニカルな表現と関西人が共感する日常や関西あるあるを忘れず盛り込んで表現する面白がらせ精神は、まさに職人技が光っている。関西電気保安協会の新聞連続小説シリーズはWEBムービーの制作裏側(メイキング)をオムニバスシリーズで展開し、面白さと共感がある。また同協会の財産である、サウンドロゴを常にアップデートし、特に音の出ない新聞広告やポスターでサウンドロゴを追及するチャレンジ精神溢れる作品は広告制作への執念を感じる。多くの引き出しから表現のベクトルと新しいフォーマットを生み出す姿は「やってみなはれ」の精神を体現しており、この度の受賞となりました。
主な受賞歴
ACC賞、TCC新人賞、FCC最高賞、CCN最高賞、OCC賞準グランプリ、読売広告大賞他受賞
第56回やってみなはれ佐治敬三賞 ファイナリスト(所属会社名は応募時)
- 茗荷 恭平 (電通 関西支社)
- 矢野 貴寿 (電通 関西支社)
- 森井 聖浩 (東急エージェンシー 関西支社)
- 廣瀬 泰三 (電通 関西支社)
第56回やってみなはれ佐治敬三賞 審査講評(役職は選考委員会時)
- 選考委員長
世耕 石弘(学校法人 近畿大学 経営戦略本部 本部長) - 選考委員の意見を一応束ねなければならない選考委員長を務めて今回が3回目。過去2回はコロナ禍によりオンラインでの選考会であり私の拙い進行とオンラインという環境もあり意思疎通も難しく、長時間の審査になった。今回、3回目にして初めて対面での選考会となった。少しは委員長としての進行にも経験値が積まれ、初めての対面ということもありわきあいあいとした空気に、少し舞い上がった私は冒頭に「15分で終わらせましょう」と申し上げたが、その瞬間から空気が変わった・・・。あらかじめの審査結果も手元にあり、ある程度結果は見えていたはずで、あながち間違いではなかったと思ったが、選考委員の皆様は若手時代に数々の賞に挑戦し、研鑽を積まれた猛者ばかりであり、その方々に私は言ってはいけない一言を言ってしまったようだ。
そこから議論が白熱し、当初の結果が覆される事態に。最後は一人でも意見が変わればまた振り出しに戻る展開に。このままではどうなるのだろうかと絶望的な私の心理状態を見かねた副委員長の児島令子さんの慈悲深いサポートもあり、なんとか選考を終えることができた。各委員の雰囲気的にはあのままずっと議論を続けたそうに感じたが、それが応募者に対する各委員の敬意表れであろう。クリエータは年齢・立場・会社は違うけれどもお互いをリスペクトする戦友みたいな関係性であることを今回の選考で強く心に刻まれ。その戦友を選考しなければならなかった委員の皆様に心から感謝を申し上げたい。
- 副委員長
児島 令子(コピーライター) - 3年ぶりのリアル審査。選考委員誰もが議論ウエルカムなムード。
やはりこの賞は、関西らしく話してなんぼの審査会だ。
一次審査の結果で上位が絞られた段階で、即決戦すればすぐに決まっただろう。
だがそれをしない。したくない雰囲気があった。
一等賞を決める前に、「ねえちょっと、もっと作品のこと話そうよ」と、
雑談のふりした鋭い審査が、繰り広げられたのだ。
とくに細田さんと茗荷さんの評価が拮抗しており、応援演説も熱が入った。
細田さんの関西電気保安協会における多彩な表現力。
ただ面白けりゃいいでは許されない企業における、面白さの品質管理が秀逸。
一方茗荷さんは、思う存分面白さを追求してる。が。決して自己満足でなく、
世の中へのサービス精神でクリエイトしてるのが好感度高い。
そんなことをああだこうだ語り合って、最終投票で細田さんになったが、
細田派も茗荷派も、互いの良き点を認め合った上での平和的終決だった。
お2人以外にも矢野さん、森井さん、廣瀬さんはじめ、
応募者や応募作品について活発に意見が出た。
リモート会議でなく、リアルだからこそ会話のキャッチボールが気軽になされ、
「議論で作り上げる審査会」が実現したと思う。
選考委員が違えばまた結果は変わるだろう。賞とはそういうものだ。
佐治敬三賞をよりよいものにしていくには、
応募される皆さんと、審査する私たち、
どちらもが世の中を見るクリアな目をもってなければいけない。
あらためてそう感じ、私自身も日々の仕事を頑張ろうと思ったのでした。
- 打田 一成(株式会社博報堂 関西支社1BD局 クリエイティブディレクター)
- 佐治敬三賞は、毎年作品を更新しながらチャレンジしてくる
「常連」の方々の活躍ぶりを見るのも審査の楽しみのひとつです。
ああ今年はこうきたか、こんなこともできるのか、と面識がなくても身近に感じて気になったり。
昨年、惜しくも落選した細田さんはまさにそんな常連さんの一人。
関西電気保安協会はおもしろさを期待されるプレッシャーのかかる仕事だと思いますが、
毎年あの手この手のアイデアで高いハードルを超えてくる。
そして今年も、軽々と期待に応えてくれました。
とくに連載新聞小説は、「そうきたか!」という内容。
WEB動画と新聞の掛け合わせがおもしろいし、文章も行き届いていてうまい。
細田さんの関西電気保安協会は、どれも見る人が楽しめるかどうか?をしっかりおさえた
サービス精神に溢れた広告になっています。
いまや暮らしのあらゆるタッチポイントに広告があふれているわけですが、
広告が嫌われないために、「サービス」の感覚は忘れちゃいけないなと思い起こさせてくれました。
ギリギリまで受賞を争った茗荷さんの熱量もすごかった。
ADでありながら言葉の領域でも勝負しようという意気込みには凄みを感じます。
作品の質と量でこのお二人が頭ひとつリードしている印象でしたが、
今年は全体的にレベルが高かった。質はいいけどもっと量が欲しい、という方々が何人もいました。
来年以降また作品を増やして是非再チャレンジして欲しいと思います。
私は今回が最後の審査となりましたが、今後もこの賞の結果は追いかけていきたいと思います。
楽しい審査をありがとうございました。
- 岡 ゆかり(株式会社サン・アド クリエイティブ本部 クリエイティブディレクター)
- 今年の審査会は3年ぶりに大阪の空気を吸いながらのリアル開催。
新しく菅野薫さんを審査員に迎え、個性あふれる面々が揃い、闊達な議論が交わされる熱い審査会となった。
今年は非常に早いタイミングで関西電通の茗荷恭平さんとタイガータイガーの細田佳宏さんお二人の一騎打ちとなった。
それぞれの応援演説が飛び交い、甲乙つけがたさが露わになり、さらに悩みながら投票を繰り返し、最後は細田さんに軍配が上がった。
昨年の審査講評を振り返ると、審査員のほぼ全員が細田さんの次回へのチャレンジにエールを送っていたが、粘り強いチャレンジの結果見事グランプリを獲得された。
『関西電気保安協会』のシリーズは、資産であるサウンドロゴを駆使し、常に鮮度を持って積み上げていく、難度の高い職人技が光っていた。
伝説の広告を受け継ぐ重責を一手に引き受けチャレンジし続ける細田さん。
『彼と、彼女と、関西電気保安協会』のWEBムービーと、まるでメイキングさながらの新聞広告との連携は、アナログでありながらむしろ新しさを感じる秀逸なアイデアだった。
翻って茗荷さんの作品もどれもチャレンジングでインパクトがあり、さらにクオリティが高いという素晴らしい作品ばかりで、関西電通のお家芸を引き継ぎながらも
アグレッシブに進化させようとする姿勢は見事だ。
来年こそです!茗荷さん。来年のチャレンジを心より願っています。
今の混沌とした不安の多い時代だからこそ、自らのアイデンティティを正面から肯定しみんなで面白がる。
フフッと笑みがこぼれて心がホッとする。企業が、広告がやるべき本当に大切なことは世の中を幸せにすること。
お二人の作品には、その想いが溢れていた。
この賞を通して見えてくるのは、関西人の優しさ、温かさ、明るさ、そして人間らしさだ。
ある意味“おせっかい”とも捉えられるその人懐こさが、寂しく落ち込む日本を救うはず!日本の再生は関西にかかっていると確信しています。
審査会の後、足早に新幹線に向かう途中、古川雅之さん似の気の良さそうなお兄さんに「リュックのチャックが開いてますよ」と声をかけられた。
心がホッコリした。なんてナイスなおせっかい!
来年もぜひ大阪の地でたくさんの“おせっかい”な広告に出会いたい。
- 喜多 真二(株式会社大広WEDO 大阪クリエイティブ力Division CD)
- 挑戦してみた証、みなさんの「やってみなはれ!」が、今年もたくさん集まりました。
アイデア溢れた仕事が勢揃いした中、最終的には細田さん、茗荷さんの一騎打ちに。
細田さんの関西電気保安協会の仕事は、関西人にはききなれた、関西電気保安協会のジングルを昇華させた企画、いかに関西電気保安協会を印象的に残すのかをテーマに丁寧に取り組まれた企画、WEB動画と新聞といったメディアをうまく連携させた企画など、いずれも、
すごく派手ではないけれど、緻密に計算された「やってみなはれ!」が潜んでいた。
茗荷さんの仕事は、アイフルも赤城乳業も大日本除虫菊も、いずれもインパクトのある
記憶に残すチャレンジングな「やってみなはれ!」な表現だった。
審査会では、おふたりの人となりまで話がおよび、結果、茗荷さんの力強さを、しなやかに躱し、僅差で細田さんに軍配があがった。
細田さん、おめでとうございます。
惜しくも受賞をのがした矢野さんの大和ハウス「名もなき家事妖怪」は広告領域の超越に挑戦。
森井さんのAC「寛容ラップ」は行動を促すための演出に挑戦。
廣瀬さんのロート「目の愛護車両」はタッチポイントでの意外性に挑戦。
その他の応募者の方にも、それぞれの挑戦があった。
みなさんの挑戦をみているうちに「やってみなはれ!佐治敬三賞」は広告コミュニケーションがややこしく、小難しくなっていく中、あがき続け、新しいものに挑戦する姿勢をあきらめない人々を「やってみなはれ!」と背中を押す存在なんだな。とあらためて強く感じた審査会だった。
応募してくださった皆様、素敵な刺激をありがとうございました。
- 菅野 薫(クリエーティブディレクター・コレクティブ(つづく))
- 光栄にも声をかけていただきまして、佐治敬三賞審査、初参加となりました。あらゆる角度から応募対象の良いところを発見する。その能力の高さが審査員に求められている資質だと思っています。初参加の審査員として単純に新鮮さを審査に持ち込むだけでなく、僕の専門がデジタル・テクノロジーを通してクリエーティブを企画することなので、そういった視点でこれまで気が付かれてこなかった応募者の(実は)良いところを発見することを意識して審査に参加しました。
審査慣れされている諸先輩は、もう意識されなくなってしまっているかもしれませんが、佐治敬三賞審査は、これまで経験したどの審査よりも難しい審査でした。応募された全ての方が、置かれた状況において最大限の企画力を発揮されていて単純比較することが難しい。候補者、特にファイナリストを含む上位の方に大きな実力差はないと思います。
その中で、ふと流れてきた綺麗に乗れる波にたまたま出会えた運、その時が来たときのためにずっと鍛え続けてきた技術、いざそのときが来たときに臆せず飛び乗る勇気、一回限りのチャンスでしっかり最後までやり遂げる胆力。全てが綺麗にハマったタイミングに審査がなされた。その僅かで、でも大きな違いで受賞が決まっています。と、何故かやったことのないサーフィンに例えて書いてみました。
つまり、次を狙う若い方は、まず候補に入れるように、ですね。そこは自分で頑張れるところ。あとの受賞要件は自分の努力だけじゃないのでせっせと目の前の仕事に願いを込めて頑張るのみですね。
来年以降、こういう話を吹き飛ばすような、突如として登場して一気に賞をかっさらう鮮やかなヒーローの登場がみてみたいです。
- 中島 信也(株式会社東北新社 顧問 エグゼクティブクリエイティブディレクター)
- 僕は、広告の最終的な目的は「人々をなんらかの行動に導くこと」や、と考えてます。商品やったら「買うてもらう」という行動。お店やったら「来てもらう」という行動。いろんな行動があるんやけど、人間って「広告を打ったからすぐに行動してくれる」というほど単純な動物やない。まずは広告に目を留めてもらわんことにはなんにも始まらへん。忙しくて広告なんか見てる暇あれへんもん。仮に目を留めてもらうことができても「うざ」って思われてしまったらそこでおしまいです。なんとか関心を持ってもらわんと。関心を持ってもらった挙句に嫌われてしまうこともある。できることなら嫌わないでもらいたい、いや、「好き」になってもらいたい。
見ず知らずの人に急に「好きになってもらう」っちゅうのは相当無理があるねんけどそれを叶えるのが「クリエイティブ」っちゅう「魔法」やと思う。やって見なはれ佐治敬三賞のファイナリストの皆さんは一流の魔法使いなんやと思う。魔法には一発で効くものもあれば、長年呪い続けてじわじわ効いてくる魔法もある。
今回の佐治敬三賞受賞の細田佳弘さんはどっちかいうたら「じわじわ型」の魔法で人々の心を掴んで来てはる人やと思う。一発で効く魔法だけやなくて何年もかけてじわじわ効いてくる魔法の力を評価する、ちゅうところはこの佐治敬三賞のええところの一つでもあると思います。茗荷さんはこれまたえげつない魔法使いです。矢野さんも森井さんも力強い魔法をいくつか見せてくれた。廣瀬さんはもう誰でもが知ってるおなじみの実力派魔法使い。
広告業界はこのファイナリストに代表されるような優れた魔法使いたちによって成り立ってるんやと思います。それによって企業と生活者の距離を縮めて、大げさにいうと面白い世界を作ってるんやと思います。そんな、素晴らしい魔法使いを褒める佐治敬三賞を僕はこれからもしっかり応援していきたいと思います。
魔法使いの皆様、おめでとうございました!
- 古川 雅之(株式会社電通関西支社 クリエーティブ・デザイン局GCD)
- 最終審査日。久しぶりのリアル開催でした。事前審査の集計がスクリーンに映し出されると、どよめきが。圧倒的2強。細田氏と茗荷氏の一騎打ちが、早くも決定していた。これはやばいことになった。夕方の親睦会までもたないではないか。30分やそこらですぐに決まってしまったら、それじゃまるで親睦会のために集まったみたいじゃないか。なるべくゆっくり喋ったり、トイレに行ってはオートロックの部屋に戻れなくなったりして時間稼ぎをしていたが、そんな必要もなかった。そう、議論はたいそう紛糾したのです。
茗荷氏の「ぜったいにふつうでは終わらせないぞ」という物作りへのプリミティブな情熱は、複雑化する広告に抗う。自ら手を動かしビジュアルやCG、映像を作るアートディレクターでありながら、プランニングやコピーライトにも果敢に挑む。あ、面白いこと思いついて、こうやってコネコネ自由に作っていいんだ!と、閉塞感のある広告界で後進にも「やってみなはれ」と勇気を与えるクリエーティブ。とくに自身がすべてを手がけた「ダニがいなくなるシート置いてください劇場」は高い評価だった。
一方の細田氏は、昨年グランプリ争いで惜しくも逃した「関西電気保安協会」のシリーズに、渾身の新作をプラスして挑んできた。PV(風)、WEB動画、グラフィック、新聞小説と、年月を重ねながら、完成度の高い作品群をコツコツと作り上げた。決して易しくはないテーマである。しかも不朽の名作の上に立って「やってみなはれ」のプレッシャーは計り知れない。新作の、新聞小説とWEB動画のリンクが高評価だった。
さて審査員は偶数であった(10名)。何度やっても、何巡意見を交わしても5対5。決まらない上に不思議なのは、茗荷氏に挙手している人が気がつけば細田氏を褒めていたり、細田氏を推している人も隙あらば茗荷氏を絶賛していたり、 ねじれが生まれていたことだ。最後、作品それぞれの完成度と毎年作り続けた物量、つまりクオリティと情熱で、僅差、細田氏のやってみなはれが抜け出した。いい審査会になった。細田さん、おめでとう!
- 村山 貴浩(株式会社ADKクリエイティブ・ワン エリアソリューション局 クリエイティブディレクター)
- 3年ぶりのリアル選考会は、対面らしい議論の広がりがありました。
まずは昨年も選考員の目を引いていた細田さん。関西電気保安協会で、ここまで突破しつづけるアイデアと熱量は、まさにやってみなはれ!です。新作である「関西電気保安協会職員の困惑」もコピーとして読みごたえがあり、さらに思わずWEBムービーを確認せずにはいられない気持ちにさせる巧妙な導線づくりで、お見事というしかない完成度でした、あっぱれです!
対して茗荷さんは、独自の世界観をお持ちで、とくに「お店頭さま」が秀逸!キャッチーなネーミングとキャラクター設計で、説明くさくなりがちな店頭を、クリエイティブの力でこんなふうに突破できるんだという清々しい発見がありました。
さらに、毎年上位に食い込む矢野さん。クオリティの高いフィルムと、広がりをつくるアクティベーションという振り幅のあるクリエイティブで、ほかの方にはない、自在な突破力をみせつけてくれました。
新しい風を吹かせてくれたのは、なんといっても「寛容ラップ」の森井さん。いまの時代の空気を絶妙に読みながら、やさしいまなざしでチャンレンジしている点が印象的でした。
そして廣瀬さんは、もう広告のお手本ですね。グミサプリも目の愛護デーも、コピーから計算されつくしたクスっとさせるアウトプット、まさに職人芸でした。
どの方も優れたチャレンジと突破と完成度があり、どこを最もやってみなはれとするかで拮抗しましたが、最後は納得のいく形で決まってよかったです。
今年はどの応募者の方も、アイデアとチャンレンジに満ちていて、とても充実した審査をさせていただきました。
受賞された細田さん、ファイナリストのみなさま、おめでとうございました!
- 山崎 隆明(株式会社ワトソン・クリック クリエイティブディレクター)
- 今年の審査、突出していたのは、細田さんと茗荷さんでした。
広告表現の切り口や仕事のバリエーションで選べば、茗荷さんなのですが、
細田さんの関西電気保安協会の仕事に対する鬼気迫る熱量みたいなものに
私はやられました。
この仕事だけはなんとしても結果を出す、という制作者の執念みたいなものを
ひしひしと感じました。
審査会でも言ったのですが、
先人が数々の個性的な名作を作ってきた企業の仕事で結果を出すのはとても大変なことです。
でも細田さんはちゃんと自分なりのやり口で突破していました。
まじめに企画という作業と向き合い、
コツコツ頑張ってきた成果が出たのではないかな、と勝手に想像しています。
今回の細田さんの受賞は、
いままだ日の目を見ず、ひたすら悩みながら頑張っている制作者の方にとって、
とても励みになる受賞だと思います。
残念ながら僅差で受賞を逃した茗荷さん。
いまの勢いを止めることなく突っ走っていただき、近い将来、受賞してもらいたいと思います。
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