第58回「やってみなはれ佐治敬三賞」受賞者・ファイナリスト

令和7年2月26日に選考委員会を開催し「第58回やってみなはれ佐治敬三賞」を選出いたしました。 今年もたくさんのチャレンジ精神あふれる「やってみなはれ」な作品の応募がありました。 個性あふれるチャレンジ、しっかりと成果を残した作品、安定感のある王道のCM。様々なジャンルからの応募があり、選考委員の皆さんの熱い議論もありましたが、最後は満場一致で選出となりました。

第58回やってみなはれ佐治敬三賞 受賞者

宮原 広志 氏 (みやはら ひろし)氏
株式会社博報堂
アクティベーションディレクター

プロフィール
1983年広島県生まれ、早稲田大学理工学部卒。
2008年、博報堂入社、自動車/飲料の営業職を経て、2014年にクリエイティブ職へ。
ピンチを逆手にとり、好転させるアイデアを、心がけてます。
受賞対象作品
  • 金龍製麺㈱ 「道頓堀 金龍のしっぽ Project」(プロモーション)
  • ㈱海遊館 「サンゴショーウィンドウ」 (プロモーション)
  • ㈱海遊館 「BLUE SEAT 工事中の閉鎖水槽体験」 (プロモーション)
  • ㈱博報堂 「バーチャル大阪フェス〜GotoEXPO2025〜」(メタバース/仮想空間サービス)

  • 金龍製麺㈱ 道頓堀 金龍のしっぽ Project

  • ㈱海遊館 サンゴショーウィンドウ

  • ㈱海遊館「BLUE SEAT 工事中の閉鎖水槽体験」(プロモーション)
受賞理由

貴殿は独特の発見力、そしてパワーの途切れない行動力はアクティベーション領域を軸にして、社会課題の解決を新しい広告コミュニケーションを追及していた。海遊館は新しいタッチポイントを模索し、工事中ショーウインドーをリデザインし、楽しい場所化と海洋保全への行動喚起にも貢献されました。バーチャル大阪フェスは大阪の魅力を仮想空間という場所を活用した街の疑似体験を通じて、リアル誘導を目指し大阪への貢献が期待される。
金龍製麺はネガティブニュースを見て、それを見事にプラスに転じた。自ら企画を持込み提案して、ブランドイメージ低下を防いだ。切り取られたしっぽは、同じ飲食店同士のコラボを生み、立体広告看板の価値を守り、食い倒れの街大阪の地域活性化に繋がった。
場所、空間に注目し、広告の概念を超えたチャレンジは新しい視点のアイデアを生み、若手クリエーターへの強いメッセージ性を感じ、正に「やってみなはれ」の精神を体現しており、この度の受賞となりました。

主な受賞歴

ACC賞、日本マーケティング大賞、PRアワード、JACEイベントアワード、PRAward Asia-Pacific、SABRE Awards Asia-Pacific、JPM PMアワード、宣伝会議賞 Gold、販促会議賞 GP

第58回やってみなはれ佐治敬三賞 ファイナリスト(所属会社名は応募時)

  • 廣瀬 泰三(電通)
  • 金瀬侑也(ADKクリエイティブ・ワン)
  •         

第58回やってみなはれ佐治敬三賞 審査講評(役職は選考委員会時)

選考委員長
世耕 石弘(学校法人 近畿大学 経営戦略本部 本部長)
広告や広報の仕事に携わるようになって20年以上が経つ。しかし、選考委員長という役職は、広告を制作する立場ではない私にとってあまりにも重責である。加えて、副委員長の児島令子さんを筆頭に、広告業界で名高いクリエイターの選考委員の皆様のご意見を、公平かつ公正に取りまとめることは、非常に頭の痛い務めである。毎回、ほぼコントロールの効かない議論の渦中で冷や汗をかきながら、必死にまとめ役を果たしてきた。そして今回で、その役目も5回目となる。
事前の投票結果を基に選考を進める方式ではあるが、そこから毎度のように“どんでん返し”が起こるのも、この選考委員会の特徴である。今回も例外ではなく、選考委員がそれぞれ推す作品やクリエイターについて熱く語り合った。私自身は、自分の立場をわきまえ、決してクリエイターの領域には踏み込まず、あくまで広告を発注する側の視点から意見を述べさせていただいた。このプロセスは非常に時間がかかるが、それぞれの委員の言葉には広告やクリエイターへの深い愛情が込められており、それが選考結果にも影響を与える。結果として、今回もまた劇的な変化が生じた。
作品の講評については、各選考委員の皆様にお任せするとして、応募されたクリエイターの皆様の熱い想いを選考委員がしっかりと受け止め、真剣に議論を重ねたうえで今回の結果に至ったことを、選考委員長として報告させていただく
副委員長
児島令子(児島令子事務所 コピーライター)
制作者はどういうスタンスでその仕事に取り組んだろう?
アウトプットのアイデアを考え急ぐその前に、そもそもこれは、いったい何を広告すべき仕事なのか?
意識的にでも無意識的にでも、まずそこに気づき、疑問を持ち、広告をめぐる状況を見つめ直し取り組んだであろう人がいる。

その代表が「金龍のしっぽproject」を考えた、グランプリの宮原さん。
一見ご近所トラブル的なマイナスな出来事なのに、これを明るいニュースに変えるんだ!というミッションを自ら課して練った戦略。
お店のブランディングを超えて、エリアを注目させ、レガシーにさえなる戦術。
スタート地点が違う。到着点も違う。いまだかつてない景色が広がった。

佐賀県と新潟県の自治体の仕事で応募した金瀬さんも、何をどう広告すべきかを考え抜いて、オリジナルでユニークな答えを出した。
「もう、佐賀県がゴジラにしか見えない」というユニークな刷り込み、「遅刻するおむすび少女」という新ヒロイン投入。世の中に広がる工夫あり。

こう述べていると、いわゆる広告表現のクラフト的な作品はもう評価されないの?と思われるかもだが、そんなことは全然ないです。
表現のための表現でなく、そもそも何を広告する仕事であるべきだろう?と、過去の呪縛から逃れて、まっさらに考えれば、新たな表現が生まれてくるはず。

昨今応募される作品はますます多様になり、異種格闘技的な戦いの場になっているこの賞ですが、あなたはあなたが一番得意なやり方で、だけど過去の自分を超えるスタンスで、広告を根本から見つめ直し、やってみなはってください。また来年!
菅野 薫((つづく) クリエーティブ・ディレクター,クリエーティブ テクノロジスト)
僕は広告制作と向き合うときの専門性が他の審査員の方々とはちょっと違うし、そもそも近畿圏出身/在住/勤務ではないので、応募者で面識ある方も少ない。縁による情や想像される事情に左右されることが少ないので、ある種客観的な目で審査させていただくことが一番役立てると信じて審査に参加させていただいています。

やってみなはれ佐治敬三賞の審査に参加させていただいて3年目。
この時代に応募者(チーム)が増えたことが何よりの朗報でした。応募したいと思える仕事が増えていること。その事実が我々の業界を励まし、これからの活性化につながる。この1年で誇れる仕事をやり遂げることが出来た応募した皆様を褒め称えたい気持ちです。

時間を経て成長しつづける個人の表現技術を磨いて継続して応募し挑戦しつづける方々、時代の変化を象徴するように、全く新しい文脈の立ち位置や方法論で成果を持ち込む方、多様な良い仕事が並ぶことで、単純に比較して一人を選ぶことが難しかったのが今年の審査でした。

賞はメッセージです。2025年にどういう仕事をする人が、どういう代表的な仕事を引っ提げて受賞するかが、これからを担う若い人たちの指針となり、勇気になる。
出来ることなら、それは時代を象徴する結果にしたい。というのが審査員の気持ちでした。
今年のグランプリの宮原広志さんは、従来のクリエイティブとは異なるプロモーション/アクティベーション領域の強みを最大限に活かしつつ、時代を象徴する瞬間にアイデアを添えるジャーナリスティックな切り口に自分から飛び込んでいって結果を出すプロデューサー的な勇気も持ち合わせていて、審査員誰も文句なしの受賞だったように思います。

ファイナリストに入った皆様どなたも内容的に素晴らしく、タイミングと組み合わせによってはグランプリになっていておかしくないレベルで、その差も僅差だったと思います。
諦めずに来年以降も素晴らしい仕事を実現して挑戦して欲しいと願っています。
それくらい惜しかったと思っています。

特に廣瀬泰三さんは最後まで宮原さんと票で拮抗し、全員で悩んだ応募者でした。
確固たる自分らしい美意識を持って仕事をされていて、大きな規模で結果をだし、制作本数も相当な量ある。審査員の中で、「もし廣瀬さんが受賞するなら、今年しかない。」という言葉が何度も飛び交いました。

最終的には、単純な技術の比較ではなく、時代を象徴する結果というストーリーを選択したように思います。

広告賞は、広告の未来の可能性を指し示し、受賞者の未来のキャリアの後押しをするもの。
来年以降、既に高い技術を持って活躍している方々の再挑戦はもちろん、更にこれまでにない方法論とアプローチで広告のこれからの可能性を感じさせてくれる候補者が増えていくことを祈っています。
中島 信也(株式会社東北新社 顧問 エグゼクティブクリエイティブディレクター)
まずは佐治敬三賞への熱きエントリー、ありがとうございました。毎年面白いエントリーが溢れてて楽しみな審査なんですが今年の審査を終えて「めっちゃおもろかった」という感想を持ちました。
 2024の講評で僕は「やってみなはれ佐治敬三賞」の特徴として、①作品単品の良し悪しを問うのではなく、その人がどんな取り組みをしたのか、が問われるんとちゃうか(もちろん作品単品があかんかったらあかんのですけど)、②大阪ならではの「どや」があると強い」と書いています。そして、エントリーの裏に「やってみなはれ言うからやってみたで。どや!」と言う気合が受賞にかなり影響してるんとちゃうか、と指摘しています。今年の栄えある佐治敬三賞受賞者宮原広志さんのプロジェクトはこの①②の要件をめちゃめちゃ高いレベルで満たしていたと思います。
 「サンゴショーウィンドウ」っちゅう名前からして「どや」やし、金龍の尻尾がカニによって切られた、っちゅうオチ。これはここにおける最高の賛辞である「あほや」を思いっきり体現してると思います。「大阪もメタバースやで」「ブルーシートAR体験とかのハイテクもやってまっせ」と言う主張も「どや」を高めたと思います。最高です。おめでとうございます。
 ファイナリストの廣瀬さん。僕は今年の廣瀬さんの「どや」に廣瀬さん史上最高レベルの「どや!」を感じました。まだまだこんなもんやないで!と言う期待をさせる廣瀬さんのエネルギー。大阪クリエイティブの大事な柱です。来年も楽しみにさせてください。「サガ」と「遅刻するおむすび少女」の金瀬さん。おもろいです。来年以降にも大きな期待が膨らみます。
 あと博報堂ロート製薬チームの「めげない!卵子ちゃん!」これ感心しました。なかなか伝えにくいテーマやのにほんまにおもろいエンタメに昇華させる、まさにクリエイティブの力やと思います。それにすごく勉強になりました。勉強嫌いやねんけどよう学べました。
 他にも今年はおもろい作品が目白押しでした。こんなおもろい審査に加えさせていただいてとにかく感謝です。これからも「やってみなはれ佐治敬三賞」というプロジェクトが他の地域には真似のできない大阪クリエイティブを盛り上げていくことになればほんまに嬉しいです。受賞、ファイナリストの皆様、おめでとうございます!ありがとうございました。
古川 雅之(電通Creative KANSAI / クリエーティブディレクター)
最終審査会の冒頭で開示される、在宅一次審査の集計。 トップ集団には、廣瀬氏と宮原氏。 そして次の得票グループに金瀬氏、堀氏、矢野氏と続いていた。

広告業界にはいろんな賞がある。 賞には、その賞なりの審査指針・基準があるだろう。 佐治敬三賞には言わずもがな、広告・クリエイティブの 「やってみなはれ精神を讃える」という大指針がある。 そして審査員それぞれの「やってみなはれ基準」は、 それはそれはそれぞれで、だから票が割れ、 だからこそ暑苦しい議論になる。

決戦は、廣瀬氏・宮原氏・金瀬氏の三つ巴となった。 廣瀬氏は、幾度もの惜敗を経て、 今回のエントリー作品は粒を揃えてきたと感じた。 彼の中で、過去最高のラインナップではないだろうか。 僕は廣瀬氏に票を投じた。 宮原氏の「金龍のしっぽ」は、一撃の重み。 テーマもアイデアも、大阪マインドのやってみなはった感に溢れている。 金瀬氏は出品作の2本ともが新鮮なクリエイティブ。 こんな人が出てきたのか。驚いた。 この三つ巴が 「やってみなはれ精神」とは何なのか、 シビアな論争を巻き起こすこととなった。 ひりひり。

関西弁で言うと、もうちょっとマイルドに伝えられるやろか。 えーと、佐治敬三賞は、関西の賞やから 「アホやなぁ ほんまにやるか?  そこまでやるか?  ようやるわ! っちゅう関西人のいちびり・サービス精神を讃えるで!」で 審査してきたけど、だからと言って、 たとえば“関西っぽい表現のおもしろさ”だけでは ちょっと物足りん感じもしてきてんけど、そのへんどない思う? 本当に「いま選ぶべきやってみなはれ」は どれかっちゅう話ちゃうん? という、気づきのようなことか。

時代と照らし合わせて 「やってみなはれ」の解像度があがり、 クリティティブの未来を見据えて 「やってみなはれ」のアップデートが行われたように感じた。

さて議論の末、決勝戦を圧倒したのは宮原氏。 審査員の今年のやってみなはれは、「金龍のしっぽ」の一太刀で決まった。 まさに「アホやなぁ! ほんまにやるか?  そこまでやるか?  ようやるわ!」 の 関西いちびりマインドが原点のように見えるがそれだけでなく、 表現の前とアイデアの後が分厚かった。 ゼロから生み出したアイデアと実行力、 ピンチをチャンスに変え、 さらにどんどん周りを巻き込み、 アイデアを派生させたその熱量に、 この1本で十分という評価である。 おめでとうございます。 僕は廣瀬氏のつぎに、金瀬氏の方を評価した。 理由は、いいのが2本あったから。1本より2本ということで。 ゴジラとほぼ同じ県のカタチ、というアホらしい発見。 それをぐりぐり真顔で広げていくおもしろがり方。すごい。 「遅刻するおむすび少女」は、アニメで描かれる「遅刻するパン少女」が 実は朝の米離れの原因ではないか、という仮説がもうギャグアイデア。 金瀬さんは、表現の前の「発見」や「設定」が、もうそれだけでおもしろい。 すごい。うーーん、あと1本あれば!! ・・・惜しい。 今後に大きな期待をしています。

広告賞には、それぞれの指針や基準があると書いた。 でもいちばんの答えは、受賞作にあると思う。 金龍のしっぽ。 これが「やってみなはれ・佐治敬三賞」審査員の今年のメッセージ。 どうでしょう。 来年は・・「やってみなはれ」にどんなアップデートがあるのか、 またはないのか、それはわからない。 出品作たちにどんな刺激を受けるかにもよるだろう。 どんな賞も、確立したらマンネリ化する。 そして選ぶ方もそれに飽きたりして、 時代に尻を叩かれて変化しようとジタバタしたり、 未来を見据え過ぎてわけが分からなくなったり、 逆に変化にあらがって揺り戻しがあったり原点回帰したり、 自在にカタチを変えていく生き物のようだ。

審査員が変われば、時代が変われば、選ばれるものも変わる。 傾向と対策をしてもむずかしい。 審査会の流れもある。相手もいる。運もある。 で、どうするか。
田中 幹
(株式会社博報堂 マーケットデザインビジネス推進局 統合プランニング部 
クリエイティブディレクター)
▷廣瀬さん
愛護遊園地もめばちこも一言でいうと「こわい」。ここが「やってみなはれ」だと思いました。ロート製薬が次々面白いことやっており、そのコアを担ってる廣瀬さんのパワーを感じました。パチンコラジオとカレンダー。格言風と川柳というフレームが突き抜けるときに相当難しいんじゃないかなと思いました。そこへのチャレンジかと思います。

▷宮原さん
金龍はニュースへの乗っかり方が圧倒的。そしてカニが尻尾を拾ったときのビジュアルもGOOD。次々、継続的にニュース化していく仕掛けの設計も行き届いている。まったく新しいところからクライアントに飛び込んで企画としてヒットした。こういうクリエイターを褒めるは意義があると思いました。

▷金瀬さん
佐賀がゴジラににてるからコラボ、新潟県の遅刻するおむすび少女。ふたつとも乱暴。この乱暴さに「やってみなはれ」を感じました。どちらも、一枚絵のビジュアルで面白さが伝わる設計になっている。乱暴なだけじゃないところも良かったです。
岡 ゆかり
(株式会社サン・アド クリエイティブ本部 クリエイティブディレクター)
今年は児島令子副委員長のお計らいにより、告知ポスターに私とシャープの山本さんが登場させていただいた。
その成果か!?応募者数が18名に増えて喜ばしい応募状況だったのだが、今年の審査会は荒れに荒れた。
最初の票数だけでみると廣瀬さんの受賞は約束されたかのようだった。
後輩たちの受賞を見届け、いよいよ本丸廣瀬さんか!と誰もが確信していたと思ったが審査会はなにが起こるかわからない。
佐治敬三賞は、やはり「やってみなはれ」をどう捉えてどこを評価するのか。
時代が変わっていく中、この受賞が賞としてのメッセージになる。
そんな視点で最後は宮原さんの『金龍のしっぽ』が大きく評価され、まさかの大どんでん返しで宮原さんの受賞が決まった。
確かに大阪のど真ん中、道頓堀を代表する金龍のしっぽが切られてしまう!そんな大事件を大阪らしいユーモアと人情で明るいニュースに変え、さらに新しい人気スポットに変えた。それも自主提案で周囲を大いに巻き込んで実現した。
これこそが『やってみなはれ佐治敬三賞』にふさわしいのではないか。
最後は審査員全員で納得し宮原さんが選ばれた。
宮原さん!本当におめでとうございます。久しぶりの博報堂さんの受賞というのも喜ばしいことですね!

議論が進む中、ADKの金瀬さんにも注目が集まった。佐賀県をゴジラに見立てた「ゴジラ対サガ」そして「遅刻するおにぎり少女PJ」というPR施策だ。ここで評価されたのは耳目を集める優れたアイデアだった。
どちらもシンプルでわかりやすくちょっと愛嬌もあり、ギスギスした世の中をほっこりさせる素敵な施策だった。
これからのご活躍が非常に楽しみだ。

そしてそして廣瀬さん!審査が進む中、古川さんがどんどん暗い表情になっていかれたのですが。。。
審査員全員が、廣瀬さんに受賞させてあげたい!と思っていたのは本当です!!!次回も絶対チャレンジください!

個人的には、今年も博報堂の竹内さんを推した。
大阪らしいコテコテの表現に屈することなく、常に自分らしさを貫き、若者の今しかない青春のキラキラを描いて応援し続けている竹内さん。これからも貫き続けていただきたい。大経大のコピーはいつもなんか刺さります。

大広の中牟田さんは、共感、お客さま視点をモットーに誠実にブランディングに尽力されている様子が伝わってきた。
きっとどのクライアントにも頼りにされているんだろうなと。応援しています!

今年もあっという間に終わってしまいましたが、やはりこの審査会は面白い!また来年も後輩に譲れないなぁ。。。
喜多 真二(株式会社大広WEDO クリエイティブ Division / Division長)
広告に元気がないなどと、いろんなところで耳にすることが多い昨今ですが、やってみなはれ佐治敬三賞に応募していただいた皆様は、今年も元気いっぱいでした。
嬉しかったです。この20年でコミュニケーションの形が、変わっていく中で、メキメキと新しい力を身につけた人たちがここには、ちゃんといました。
やってみなはれ佐治敬三賞に選ばれた、宮原さんおめでとう!
あなたは、どんなことをすれば、世の中に波風を立てることができるのか?を見つける慧眼の持ち主だと思います。金龍ラーメンの龍の尻尾の話は、ともすれば「世の中いろいろ大変やねー」と、他人事で終わってしまう出来事を、なんと、自ら積極的に動き、自分ごとにしてしまい、挙句の果てに「世の中ってなんだか面白いねー」と思わせてしまった。その手腕、参りました。
他の仕事も、同じような視点からのユニークな発想でしたが、金龍がズバ抜けていました。
ファイナリストの廣瀬さん、全然こっちを向いてすらいないターゲットを、「えいやっ」とある意味暴力的に振り向かせる、すごいパワーのある仕事の数々。
やり口も豊富で、どの仕事も魅力いっぱいで、楽しませていただきました。
もうひとりの、ファイナリストの金瀬さん。よくまあ佐賀県をクルッと回せば「ゴジラ」に似ているなどという「こじつけ」を発見しましたね。驚きました!
お米の消費量が減っているのは、「遅刻する食パン少女」が原因!なんてホントかなー?
どちらの仕事も、とてつもない、こじつけ力ですが、その「こじつけ」に一緒に乗っかって楽しんでみてもいいか。と思える提案力がありました。面白かった。
マーケティングコミュニケーションという仕事において、「伝えたい」ことを「伝わる」ようにするために生み出されたアイデアや、工夫、切り口、やり口。
それは、新しいのか?みんなをハッとさせるのか?そこに、挑戦はあるのか?
そんな「やってみなはれ!」に挑戦してくれる皆様のことを、これからも楽しみにしています。惜しくも今回、入賞できなかったみなさんの、「やってみなはれ!」も、しっかり審査委員長をはじめ、審査委員全員に届いています。来年もぜひ挑戦をお待ちしています!
村山 貴浩(株式会社ADKマーケティング・ソリューションズ EXデザイン本部 第4EXクリエイティブ局 エリアクリエイティブG グループ長 クリエイティブ・ディレクター)
最後まで難しい審査だった。
これからの佐治敬三賞は、どこを最も「やってみなはれ!」と指し示すのか。
まるで、こちらが試されているような審査会だった。
裁判ものの社会問題をアイデアでひっくり返す人や、今だからこその女性テーマを斬新に切り取る人、あっと驚く目の付け所から世の中の見方をガラリと変える人、これぞ大阪!をどこまでも突き抜ける人など、まさに百花繚乱。
広告の可能性は広がっていると言われて久しいが、今年のやってみなはれ!はそういうラインナップが並んだと思う。いずれも個性的なアプローチだった。
そして「人」を選ぶこの賞レースはやがて、宮原さん、廣瀬さん、金瀬さんの三人が一歩抜け出した。新しい時代の産声をあげようと主張しあい始めたのだ。
宮原さんは、何といっても金龍のしっぽ。
どう考えてもネガティブな社会問題を、エンタメのストーリーに仕立て上げ、さらに、新たな観光名所に変えてしまう。この構想力と、やりきってしまう胆力。
交渉して巻き込む人の多さを考えると、恐ろしい実行力のポテンシャルです。
発想ひとつで、世の中をポジティブに変えてしまう力のある人だと驚嘆しました。
金瀬さんは、目の付け所が秀逸!いったい頭の中はどうなっているのでしょう。
佐賀県の形からゴジラを見つけ出す。これだけ離れた物をどうしたら接着できるのか。
さらに、遅刻するおむすび少女。アニメから社会課題の見つけ出す奇抜さは、日本のカルチャーだけに、もしかして影響あるかもしれないと思わせてしまう力がある。
どちらも目の付けどころが全く違うので、アイデアもシンプルで強い。
既存の枠をサクッと超えてしまう人が出てきた、そんな新しい風を感じました。
そして、この賞レースの常連である廣瀬さん。
昨年も光っていたロート×ローキにプラスして今年はこう来ましたか!目の愛護遊園地。商品の良さを売るのではなく、企業を好きになってもらう。それがまた愛着になっていく。そこに向かっていくあくなき熱量。大阪の「おもろさ」技術のお手本でありながら、今の時代のコミュニケーションにフィットさせて、進化を続けている人だと感心しました。
問題の数だけ、やってみなはれ!があり、広告脳の活躍するフィールドは広がっている。今回の審査は、そんな世の中を見つめる多才な視点とユニークな感性が数多く集まり、やってみなはれ!に新しい扉が開かれたことを実感しました。若いクリエーターのみなさんにとっては、新時代のチャンス到来と言っても過言ではないと思います。
受賞された宮原さん、ファイナリストの廣瀬さん、金瀬さん、おめでとうございました。
山崎 隆明(株式会社ワトソン・クリック クリエイティブディレクター)
偏った個人の感想を書きます。
グランプリが金龍の宮原さんに決まった時、「今年の佐治敬三賞、なんかかっこいいな」、「東京に戻ったらこの金龍の企画をひとに伝えたいな」、と思ったんですよね。こんなこと、過去にあまり思ったことはないです。どうしてそう思ったのか。ひとことで言うと、コアアイデアのユーモアの質。これに尽きます。既視感がない関西らしさ。楽しいのに、カッコいい。以前に道頓堀の立体看板を使った「消えたカニ道楽」という名作広告がありましたが、行政から撤去指導を受けるような事件をユーモアで解決したところがとてもクールで加点ポイントでした。正論を振りかざす閉塞感があるいまの時代に必要なものを広告が表現してくれた。広告の影響力がない時代に、広告でできることの可能性を鮮やかに見せてくれた。制作者として久しぶりに元気をもらいました。宮原さん、ありがとうございました。

あと、思わず笑ったのは、金瀬さんの作品の「カルチャーが米離れを加速化させたのではないか?」という仮説。アニメーションを使ったプレビデオみて、「おっ、この視点、強引さ含めてユニークでいいな」と思いました。実制作の動画は制作費や納期が関係しているのか、アニメではなく、実写でした。ほんとはリアルなみんなが知っているIPコンテンツを使って、 遅刻してパンを咥えて走るアニメの女子高生に実写のおにぎりを乱暴に合成するような表現ができたら、この仮説がもっと世を賑わせただろうな、と思って、ちょっと残念でした。 それぐらい魅力的な仮説でした。佐賀県とゴジラの相似性を発見した視点もユニークだったので、これからの金瀬さんに期待します。

宮原さんと金瀬さんに共通しているのは、従来の関西のおもしろ広告とは見え方が異なるところ。 以前にも書きましたが、関西で目立つ広告を作ろうとすると、 どうしても先人が作ってきた名作の数々がライバルになります。 それはシンプルな形をしているので、 一瞬似たようなものはできるのですが、似て非なるものになります。 そして過去にあった関西面白名作広告風ラベリングをされてしまい、 必ず損をする。

たとえば、染みついた発想のしかたを変えてみる。 関西の広告は面白くなければいけない、という固定観念を一度捨ててみる。 で、少しでも違う見え方を心がける。 過去の名作にとらわれない姿勢といまの時代を直感で掴むセンスが、 これからの関西の広告で頭ひとつ抜け出すためには必要だと思います。

最後にファイナリスト常連の廣瀬さん、 今年も力作を多数出品してくださっていました。 廣瀬さんはどんなクライアントの仕事も、 決してスルーされない目立つ広告を作る能力がある制作者です。 私が一度みてみたいのは、 廣瀬さんが作ったと思えないような廣瀬さんらしくない目立つ広告。 無茶なことを言っていますが、意外にそこを意識して企画すると、 新しい廣瀬ブランドの広告ができるかもしれません。 自分が好きなもので、まだ企画のとっかかりにしていない何かを探して、 ぜひトライしてみてください。

歴代の受賞者はこちら

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